shizukuishi011203 「現代政治の理論と実際」レポート

「アメリカ同時多発テロと軍事について」 013421 雫石征太郎

 

アメリカ同時多発テロ(以下テロ事件)が発生した後も多くの血が流された。アメリカの予想通り戦いは長期戦の様相を呈している。今回のレポートでは大まかな流れを追いつつ、この事件に関しての私見を述べていこうと思う。

 まず事の発端ともいうべき出来事であるのが、貿易センタービルにハイジャックされた旅客機が突っ込んだことだ。多くの死傷者が出ましたし、日本人の方も亡くなられました。私はこの事件を発生とほぼ同時にテレビで見ていました。まさに二機目が突っ込む瞬間をみて、これは人類にとって重大な負の歴史になるであろうことを直感しました。それはこれを読んでいる皆さんも同じであろう。

 私はこの講義の最初にフラッシュ映像による突撃の瞬間を皆さんにお見せしましたが、それほどあの瞬間は印象的だったのだ。

 数日後、すぐに犯人はウサマ・ビンラディンが主犯格であるとの報道がありました。この時私はこんなに速く犯人の特定ができるものだろうかと疑問に思いました。きっとアメリカ国民のやり場のない怒りを向ける矛先を自分達に都合の良いビンラディンに仕立て上げたのだと思いました。後からの報道でどうやら彼の犯行に間違いないことが分かったのですが、もし間違っていたらアメリカの威信は地に落ちていましたし、もしそんなに速く特定できるなら何故予想できなかったのか?という疑問も同時に浮上してきます。勿論アメリカ批判をここでするつもりはありませんし、なにより犯人が悪いのですが、なにやら腑に落ちない点が多かったので、ここまでのアメリカ政府とテロリストの思う壺にはまったメディアについて書いていきたいと思う。

 まず前述したようにアメリカ政府は事件発生後すぐに犯人を特定したと発表しましたが、証人も証拠もあまりない状況でビンラディンが主犯格であると報道した理由は「コイツならやりかねない」という憶測ではないだろうか。

 これもまた私の憶測ではあるのだが、これだけ犯人に目星がついていながら同時に三機もハイジャックされている事実を追及したり、大統領の悪口を言ったりするメディアに対して政府は圧力をかけた。メディアはその圧力を受けて、国内の批判をせずに専らビンラディンの悪事ばかりを報道しました。勿論悪事は悪事で報道するべきであるが、真実を偏った視点で見ることは時に人命に関わります。ここでこんなことを述べることは不謹慎ではあるが、真実とは権力によって捻じ曲げられたり改ざんされるべきではない。

 しかしこの意見は正義と矛盾してしまうこともある。たとえば、先ほどテロリストの思う壺とかいたのは、旅客機突入のシーンがメディアによって全世界に流されたことです。あの映像でテロリストの集団はテロの成功をブラウン管で確認でき、且つ全世界に自分達のしたことを見せつけることができる。つまり犯罪に間接的にではありますが利用されてしまっています。無論このことは不可抗力ではあります。

 つまりメディアの力は甚大で世論を形成する上での基本的土壌になるということです。この講義で調べたインターネットの情報でさえ100%正確である保証はどこにもありません。その一方で私たちに遠い異国で起こっている事件についての状況を克明に伝えてくれるツールでもある諸刃の剣なのです。

 次は軍事行動に関してです。軍事行動はうってかわって慎重なものでした。これは犯人の投降を待ってからということでしたが、いざ軍事行動が始まってから、事はとんとん拍子に進み、現在タリバン政権は崩壊しました。

 ここまでがおおまかな流れで、こういった事実から私は今回の事件の元凶はどこにあるのかを考え、まずは宗教という切り口から今回の事件の背景を探ってみました。

 今回の事件でも多く使われたイスラム対キリストという図式は何故生まれたのだろうか。それはエルサレムという一つの土地にこの二つ(正確にはユダヤ教と合わせて三つ)の宗教の聖地が重なったことに起因します。

 まずキリスト教の聖地の説明を行います。キリスト教の聖地は聖墳墓教会といいます。キリスト教徒にとっては、イエスの死と復活の舞台であり、その場所に聖墳墓教会が存在しています。この場所はイエスキリストが処刑され、埋葬されたゴルゴダの丘に建つ。(ちなみにゴルゴダは「されこうべ」の意味。)

 次にイスラム教の聖地の一つ「岩のドーム」です。イスラム教徒にとっては、預言者マホメッドが昇天したといわれる場所であり、そこに岩のドーム(モスク)とエルアクサモスクがあって世界の巡礼者を集めています。ドームの中央下にある岩があり、そこからマホメットが昇天したと伝えられていて、岩のドームの名前の由来となっています。(ちなみにユダヤ教の聖地でもある嘆きの壁が存在するがここでは記述しない。)

 この聖地を奪還するため有史以来、人は争いを続けてきました。ここに事の発端があると考えます。

私達日本人の殆どが無宗教です。昨今は愛国心さえ無くなりかけているのに、たかが宗教のために昔から多くの人間が死んでいることはイマイチ理解に苦しむ方も多いでしょう。

個人的には、本来宗教は人がいかによりよく生きるかの道しるべのようなものと考えています。その宗教が信徒を死に至らしめる動機であることはなんとも皮肉なものです。

ことイスラム教は戒律が厳しく、信徒の日常生活のすみずみに様々な制約を強いるものです。決まった時間にメッカに礼拝したり、食べ物や服装に関して等等、無宗教の私には意味があるのかという疑問を抱かせます。さらに現在崩壊したタリバン政権下ではさらに厳しい統制をかけていて、娯楽は全面的に禁止し、男はヒゲを生やし、女性は一人での外出が禁止され、家族以外にその素顔をさらすことを許されません。私はテレビを見ながら住民はこれでなんとも思わないのかと不思議に思っていましたが、タリバン政権が崩壊し、喜んでヒゲを剃る男や凧をあげる子供、テレビを買ったり音楽を聴いたり外を一人で歩く女性を見て、やはり私達と同じ人間で、普通の生活を謳歌したいのだなと実感した。

次に取り上げたのは日本の自衛隊派遣についてです。

 アメリカ同時多発テロ事件もいよいよタリバン政権の崩壊により、終焉を迎えつつありますが、日本政府の対応は残念ながら迅速とは言いがたいものでした。なぜ湾岸戦争の時も今回の自衛隊派遣も小手先の対応しかできなかったのでしょうか。

今回のレポートはそのテーマで話を進めてみたいと思います。

次の文章は共同通信の記事を引用したものです。

 

政府は米中枢同時テロを受け、米軍の報復行動などを支援する七項目の措置の具体化を急いでいる。このうち自衛隊の活用を盛り込んだ(1)医療、物資輸送などの支援(2)自衛隊艦艇の派遣(3)避難民支援(4)米軍関連施設の警備の四項目について、今後の課題と見通しを探った。

 【米軍等支援新法】
 政府は、自衛隊が医療、物資輸送などを支援する新法を十月五日に国会提出する方針。新法は日米首脳会談で小泉純一郎首相が実現を約束し「対米公約」となっている。政府、与党は新法について(1)テロ対策に限った特別立法(2)活動地域は「戦闘が行われていない」などを条件に他国領域も含む(3)支援は医療、輸送、補給など周辺事態法に規定された項目と被災民支援とすることなどで合意した。

 今後、派遣隊員の武器使用基準の緩和が最大の焦点となるが、憲法で禁じた海外での「武力行使」に当たる可能性もあり、調整は難航する見通しだ。

 政府、与党は民主党の協力を得るため、武器・弾薬輸送の除外や自衛隊の活動地域の歯止めなどで民主党の主張を受け入れることも模索している。

 【自衛隊艦艇派遣】
 防衛庁は「日本の商船の安全航行を確保するための情報収集」を目的に、インド洋に最新鋭のイージス艦を派遣したい考え。しかし法的根拠を防衛庁設置法の「調査、研究」に置いていることから、拡大解釈との批判が強い。与党内には「日の丸を掲げるためのみの派遣」(自民党筋)との反発が広がっており、イージス艦派遣は当面、先送りされる方向。イージス艦以外の護衛艦派遣を検討している。

 【避難民支援】
政府は九月二十九日に調査団をパキスタンに派遣。早ければ十月上旬に航空自衛隊のC130輸送機四五機からなる空輸部隊を編成し、毛布、テントなど救援物資をパキスタンに輸送する。

 現行の国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく派遣で、与党調整なども特に問題はなさそう。ただ現行法では、米軍の報復行動でパキスタンが紛争に巻き込まれれば、同法の派遣条件が崩れ、活動中止に追い込まれる。

 このため、難民支援活動を新法にも盛り込む方向。ただ「武装した難民」への警戒などから、ここでも自衛隊員の武器使用基準の緩和が問題となる。

 【米軍などの施設警備】
 政府、与党は今回のテロを教訓に、自衛隊が国内の重要施設警備を実施できるように自衛隊法を改正する方針。これまでの調整で「自衛隊が国会や皇居を警備しなければならない事態になれば治安出動だ」(政府首脳)との判断で、警備対象から皇居、国会、首相官邸などを除外し、米軍と自衛隊施設に限定することになった。

     http://www.kyodo.co.jp/kyodonews/2001/sdf/news/20011001-10.html

 

以上がおもな日本政府の対応でありますが、個人的な感想として、対応が遅かったわりには結局自衛隊にさまざまな足かせをして十分な行動ができなくしてしまっているような印象を受けました。

勿論日本が本来軍隊を持たない憲法をもった国であることをふまえて書いているわけですが、その議論は湾岸時に解決しておくべきだったのではないでしょうか。結局最新鋭のイージス艦出航も「日本の商船の安全航行を確保するための情報収集」が目的であり、「日の丸を掲げるためのみの派遣」(自民党筋)であるとの考えもうなずけます。自己保身のためだけの派遣ならばアメリカ側から見ても、日本の行動は茶番にすぎないとみられても当然でしょう。今になってどこからどこまでが後方支援だとか、どこまで自衛隊の武器使用を許すだとかを一から決めていれば後手後手になるのも当然ではないでしょうか。今回の事件はいわゆる周辺事態ではありませんでしたが、現代の戦争はどこまでが周辺かという定義もしづらくなってきています。世界に誇れる平和憲法も国民の生命と財産を保全できなければ、絵に描いた餅にすぎません。

アメリカに守られているからといって自衛隊が形骸化していては、有事の際に迅速に行動できる道理がありません。勿論政治家や自衛隊だけに押し付けるのではなく私たち国民も危機感を持って憲法と自衛隊のジレンマを解決していく必要があると考えます。

以上、宗教の側面と日本の自衛隊派遣の側面から考察してみた。

つまり私がこのレポートを通して言いたいことはイスラム教がイスラム対異教徒という図式をもっている限り、日本もその標的になりうるのだから、いつまでも洞ヶ峠を決め込まないことが肝要である、ということだ。もはやこれは世界大戦であると認識してよいと思う。

この講義の特徴は発信型の講義であるという点である。そのメリットを生かして私はこれを読んでいただいている皆さんに現在の状況の深刻さを知っていただけたら幸いである。